脳脊髄液減少症
脳脊髄液減少症は、低髄液圧症候群とも呼ばれ、もっと簡単に髄液漏れと呼ばれることもあります。
正式な傷病名は低髄液圧症候群で、髄液が漏れ出して髄液圧が低くなることで、髄液に浮かんでいる脳が下がり、
それによって起立性頭痛をはじめとした様々な症状が発現するとされています。
最近の臨床結果などから、髄液が漏れていても、
他の要因によって髄液圧は正常値を維持し、低髄液圧となっていないケースが多く見られることから、
低髄液圧症候群という呼び名は適切ではなく、脳脊髄液減少症という呼び名に改めようとする傾向にあります。
その症状の内容は多岐に渡り、人によって症状も様々ですが、
難治性のむち打ちの症状と似ているために単なるむち打ちと診断されてしまい、
脳脊髄液減少症であることに気付かれないことが多いとされています。
脳脊髄液減少症とブラッドパッチ治療
脳脊髄液減少症であると診断された場合、ブラッドパッチという治療を行うのが一般的です。
髄液が漏れている箇所を検査によって特定し、そこに自分の血を注射することによって、
自分の血で髄液が漏れている穴を塞いでしまおうというものです。
非常に効果のある治療だと言われていますが、必ずしも成功するわけではなく、成功率はさほど高くはないようです。
基本は受傷直後の臥床安静と水分補給が最も重要です。
ここで無理をすることによって難治性となることが多いようです。
この病気は、帝王切開を経験のある妊婦の方にも比較的よく知られている病気で、
腰椎麻酔後に激しい起立性の頭痛を起こすのと基本的に同じものです。
出産後は臥床安静にして水分補給を充分に行いますから、
通常、出産後の頭痛は退院時には治っているはずです。
交通事故の場合でも、受傷後に起立性の頭痛に気が付いたら大事を取って仕事等は休暇を取り、
2週間程度ベッドに横になり水分を充分に取りながら安静にしておくことで大抵は治ります。
脳脊髄液減少症と後遺障害
脳脊髄液減少症と交通事故との因果関係は現在も未知のものとされています。
交通事故によって脳脊髄液減少症が起きることについての医学的解明が充分ではなく、
また臨床における検査の実態として、必ずしも正確な検査・診断が行われているとは言い難く、
臨床経験の豊富な病院でさえ3割程度の患者に対しては治療の効果が見られず、
かつ効果がない理由が不明なのがその主な原因です。
このような現実から、脳脊髄液減少症で後遺障害認定を受けるというのは非常に困難で、
事故との因果関係を証明された画期的な判例もまだ出ていないというのが現実です。
真に脳脊髄液減少症であればブラッドパッチによって髄液の漏れさえ止められれば
後遺障害は残らないと考えるのが自然であることから、
今後、脳脊髄液減少症と交通事故との因果関係が認められ、
ブラッドパッチ治療を保険会社負担とする等の判例が出る可能性は充分あると思われますが、
脳脊髄液減少症が後遺障害として認定を受けられるかどうかについては、
正直厳しいとコメントせざるを得ません。
交通事故被害者としては、むち打ちによる神経原生の症状であるとして、
自律神経失調症やバレー・リュー症候群等の傷病名で後遺障害等級の獲得を目指すほうが得策です。
実際、脳脊髄液減少症が疑われるケースでも、
同時に頚椎由来の神経症状も併発していることが往々にしてあるのです。
認められにくい脳脊髄液減少症に必要以上にこだわって何の賠償も受けられないより、
頚椎の神経症状として等級認定を受け、
後遺障害保険金の中から自由に治療先を選ぶほうがずっと建設的であると考えます。
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